ネイルサロンの客単価の上げ方|メニュー構成・提案・値上げの判断

Summaryこの記事の結論
- 客単価は「メニューの組み合わせ」「施術中の提案」「店販」「価格」の4つで決まり、どこが止まっているかで直す場所が変わります。
- 値上げより先に、メニュー表の並びとケア・オフの見せ方で、選ばれる組み合わせが変わらないかを確かめます。
- 単価を上げた月は、再来が落ちていないかを同じ表で見ます。値上げは理由と時期を先に伝えます。
客単価とは、一定期間の施術と店販の売上を、来店した人数で割った1人あたりの金額のことです(売上÷来店数)。新規も再来もそれなりにあるのに売上が伸びないとき、次に見る数字がこの客単価です。
この記事では、ホットペッパービューティー(以下HPB)の掲載ページで集客しているネイルサロンに向けて、メニュー構成、提案の仕方、オプションの見せ方、値上げの判断と伝え方を、実務の順番で整理します。
ネイルサロンの客単価は、何で決まりますか?
ネイルサロンの客単価は、基本メニューに何を足して選ばれたか、店販が加わったか、そして価格そのもので決まります。どれか1つだけを見ても、上がらない理由は分かりません。
たとえば、ハンドジェルの定額デザインだけを選ぶ方が多いのか、オフやケアも一緒に選ばれているのか。施術中にパーツや長さ出しの話ができているのか。ここを分けて見ると、手を入れる場所がはっきりします。

利用者側の数字も一つの参考になります。美容センサス2025年上期《ネイルサロン編》(リクルート ホットペッパービューティーアカデミー、2025年1月27日〜2月12日調査)によると、女性の1回あたり利用金額は平均6,270円でした。メニュー利用率は、ハンドジェル(オフ・ケア含む)が64.1%、ハンドケアのみが23.7%、ハンドオフのみが18.8%です。これらは利用者側の平均・割合で、お店の価格や客単価の目安ではありません。自店の数字は、自店の前の月や前の年の同じ月と比べてください。
客単価が上がらないのは、どこで止まっているからですか?
客単価が上がらないときは、4つの要素のどれで止まっているかを先に切り分けます。止まっている場所が違えば、直す場所も違うからです。
次の表は、要素ごとに見る数字と、止まっているときのサイン、先に直す場所をまとめたものです。
| 要素 | 見る数字 | 止まっているサイン | 先に直す場所 |
|---|---|---|---|
| メニューの組み合わせ | オフ・ケア付きで選ばれた割合 | 一番手前のメニューだけが選ばれる | メニュー表の並び・名前 |
| 施術中の提案 | 当日に追加された人数 | 追加の話が人によって違う | 提案の時機と言い方の型 |
| 店販 | 店販を買った人数 | 置いてあるだけで説明がない | 使う場面の一言説明 |
| 価格 | 予約の埋まり方と再来の推移 | 予約が先まで埋まり、再来も保てている | 価格の見直しの検討 |
※表は考え方を示すためのもので、実際の原因はお店ごとに異なります。
予約そのものが少ない、新規が2回目に戻らないといった段階で止まっている場合は、客単価より先に直す場所があります。段階ごとの診断は予約が増えない原因の見つけ方にまとめました。店舗が複数あるなら、店舗ごとに客単価を分けて並べると違いが見えます。その並べ方は2店舗目の集客と数字の見方で扱っています。
メニュー表は、どう並べると組み合わせが選ばれやすいですか?
メニュー表は、お客様が「自分の爪の状態ならこれ」と選べる順に並べると、組み合わせが選ばれやすくなります。安い順に並べると、一番手前だけが選ばれがちです。
並べ方の型は次の3段です。
- 1段目:主力のセット(例:ハンドジェル定額デザイン+オフ込み)。迷ったらこれ、という形にします
- 2段目:状態に合わせて足すもの(ケア、長さ出し、パーツ)。「こんな方に」を一言添えます
- 3段目:単品(オフのみ、ケアのみ)。来店の間が空く方や、お休み中の方の受け皿にします
それぞれに所要時間を書いておくと、組み合わせたときの時間が想像しやすくなります。お客様はサロンで過ごす時間も見て選ぶからです。
名前には「何が含まれるか」を入れ、価格は価格欄に任せます。オフが込みか別かは、とくに迷いやすい点です。掲載ページのクーポン名の付け方や入替えは、クーポンの作り方に分けて書いています。
ケア・オフ・パーツの提案は、いつどう伝えればよいですか?
提案は、予約の前・カウンセリング・施術の終わりの3つの時機に分けて、店内で言い方をそろえます。施術の途中に急に勧めると、押し売りに感じられやすいからです。
| 時機 | 伝えること | 言い方の例 |
|---|---|---|
| 予約の前 | 掲載ページのメニュー説明 | 「乾燥が気になる方はケア付きがおすすめです」 |
| カウンセリング | 爪の状態と、それに合う追加 | 「先端が欠けやすいので、長さ出しで補強できます」 |
| 施術の終わり | 次回の組み合わせ | 「次回はケアも一緒にいかがですか」 |
言い方の例は、お店の言葉に置き換えてください。大切なのは「爪の状態」を理由に伝えることです。理由があると、お客様は自分で選んだと感じられます。
断られたら、それ以上は勧めません。次回の予約時に思い出してもらえれば十分です。提案の言い方をスタッフでそろえる方法は、再来の伝え方と共通する部分が多いので、リピート率の上げ方もあわせてご覧ください。
店販は、客単価にどう関わりますか?
店販は、施術の時間を増やさずに客単価に加えられる売上です。ただし、置いておくだけでは動きにくいものです。
美容センサス2025年上期《ネイルサロン編》では、女性の店販購入率(過去1年)は19.5%、年間の店販購入金額は14,322円でした(出典)。こちらも利用者側の平均・割合で、お店の目安ではありません。
店販を勧めるときは、施術の終わりに「次の来店までの持ちを良くするため」と使う場面を一言で伝えます。キューティクルオイルなら「寝る前に1滴」のように、使い方まで添えます。施術で使ったものを実際に見せると、説明が短くて済みます。
値上げを考えるときは、何を確かめればよいですか?
値上げを考えるときは、予約の埋まり方と再来の推移を先に確かめます。予約に余裕があり再来も下がっている状態で上げると、来店数が減って売上が戻らないことがあるからです。
判断の参考に、利用者側の調査があります。美容センサス2023年上期《ネイルサロン編》(2023年2月8日〜21日調査)のP.10は「予定を含めた利用サロンの値上げは、女性45.7%」でした。図表「値上げされた場合の利用意向」(ネイルサロン利用者・女性 n=551)では、次のとおりです。
- 現サロンを今までと同様に利用し続ける:43.0%
- 現サロンを利用し続けるが、利用頻度が減る:27.2%
- 別のサロンに変更する:19.4%
- サロンの利用自体をやめる(現サロンも別のサロンも利用しない):10.3%
これは利用者側の割合で、お店の価格や再来率の目安ではありません。値上げ幅を尋ねた結果でもないので、「この程度なら大丈夫」とは読めません。分かるのは、続けてくれる方がいる一方で、頻度や通う先を見直す方もいる、ということです。
そのため、値上げの前に次の点を確かめます。
| 確認点 | どこで分かるか | 理由 |
|---|---|---|
| 予約の埋まり方 | 予約台帳・空き枠の残り方 | 埋まっていないなら、先に予約を増やす |
| 再来の推移 | 2回目・3回目に来た人数 | 下がっているなら、先に再来を直す |
| 口コミ | 届いた口コミの内容 | 仕上がりや接客の評価を確かめる |
| メニューの中身 | 材料・工程・所要時間の変更 | 中身の違いを説明できるか |
| 掲載ページでの伝え方 | メニュー説明・写真 | 価格の違いが写真と言葉で伝わるか |
| 告知の時期 | 次回予約の入り方 | 次回予約済みの方に先に伝えられるか |
2025年版 中小企業白書の概要(中小企業庁)は、コストカット戦略は限界を迎えているとし、適切な価格設定・価格転嫁の推進で付加価値を高めることを示しています。値上げは悪いことではありません。中身と伝え方をそろえてから行うものです。
伝えるときは、①いつから、②何が変わるか、③理由(材料費の変化や工程の見直しなど)を、施術の終わりと掲載ページ・LINEなどで同じ言葉で伝えます。次回予約がある方には、予約時の価格をどう扱うかも先に決めておきます。値上げの後に利益がどれだけ残るかは、材料費や人件費と合わせて考える必要があります。利益の残し方は、姉妹サービスのNBL|ネイルサロン経営者の学校で扱っています。

割引や「通常価格」の表示で、気をつけることは何ですか?
割引の表示で「通常価格◯円→◯円」と並べるときは、その通常価格で最近相当期間にわたって販売していたことが前提です。そうでない価格を並べると、不当表示に当たるおそれがあります。
消費者庁「二重価格表示」では、過去の販売価格を比較対照にする場合、最近相当期間にわたって販売されていた価格なら不当表示に該当するおそれはないとしています。そう言えない価格を使うなら、いつ・どの程度の期間販売された価格かを正確に示す必要があります。将来の販売価格を比べる場合も、十分な根拠がなければ問題になるおそれがあります。
ネイルサロンで気をつけたいのは、次のような場面です。
- 値上げの直後に、新しい価格を「通常価格」として割引を並べる
- 実際にはほとんど使われない単品の合計を「通常価格」として並べる
- 「来月から◯円になります」と書いたのに、その価格で販売しない
割引で選ばれやすくしても、単価は下がります。割引を出すときは、どの段階の数字を動かしたいのかを決めてから出します。
客単価が上がったかは、どの数字で確かめますか?
客単価が上がったかは、客単価と再来を同じ表に並べて、月ごとに確かめます。客単価だけが上がっても、再来が落ちていれば売上は伸びません。
次の表は計算の例です。統計や平均値ではありません。
| 項目 | 前の月 | 今月 |
|---|---|---|
| 施術売上 | A円 | A'円 |
| 店販売上 | B円 | B'円 |
| 来店数 | N人 | N'人 |
| 客単価 | (A+B)÷N | (A'+B')÷N' |
| 再来の人数 | R人 | R'人 |
見るときは、次の順で確かめます。
- 客単価が前の月・前の年の同じ月より上がっているか
- 同じ月に、再来の人数が下がっていないか
- 上がった理由が、組み合わせ・提案・店販・価格のどれか
1か月で変えるのは1か所にします。複数を同時に変えると、何が効いたのか分からなくなるからです。
ネイル満席では、月次レポートで閲覧から再来までの数字を全部お見せし、単価と再来を並べて確かめます。単価を上げた月に再来が落ちていないかは、月1回の定例ミーティングで一緒に見ます。メニューと価格を決めるのはお店で、ネイル満席は掲載ページでの見せ方やメニュー更新の案を出し、作業も担います。
まとめ
- 客単価は「メニューの組み合わせ」「施術中の提案」「店販」「価格」の4つに分けて見る
- メニュー表は「主力のセット→足すもの→単品」の3段で並べ、所要時間を添える
- 提案は予約前・カウンセリング・施術の終わりに分け、爪の状態を理由に伝える
- 値上げの前に、予約の埋まり方・再来・掲載ページの伝え方を確かめ、理由と時期を先に伝える
- 「通常価格」を並べるのは、最近相当期間にわたって販売していた価格だけにする
- 客単価と再来を同じ表に並べ、1か月に変えるのは1か所にする
自分で数字を並べても、どこから手を付けるか迷う場合は、相談先を選ぶところから考えるのも一つの方法です。相談の前に用意するものは集客コンサルと運用代行の違いと相談先の選び方にまとめました。いまのメニューとクーポンの並びを自店の数字で見直したい方は、現状分析つきの面談を申し込むからご相談ください。料金は面談の最後に書面でお見せします。お持ち帰りいただけます。その場でのお支払いはありません。
更新履歴:2026年10月27日 公開



